南会津 倉渕山 2010年4月4日

所要時間 5:18 東尾根末端−−6:54 倉渕山 7:03−−7:48 東尾根末端



 倉渕山は窓明山〜家向山と続く尾根の東側にあり末端は小立岩集落で消える。標高は1200m強でこの辺の山としては高い部類とは言えないが、何ともマイナーそうな場所にあり、藪山派としては登ってみたくなる場所だ。最も踏跡がありそうなのは主尾根で、地形図を見る限りでは急な場所も痩せ尾根も無さそうで、残雪期に登るにも最適と見た。

 倉渕山に登るのを決めたのは前日に白身山から下山した後で、翌日は用事があって午後早い時間に東京まで戻る必要があること、白身山の疲労が残っているのでそこそこ楽な場所にしたい、白身山から近い場所にしたい、そして地図がなくても歩けるような顕著な尾根にしたいとの要求事項を全て満たす山だったからだ。地図無しで歩くのは2日目に予定していた丸山はどうも短時間では登れそうになく、急遽予定変更したからだった。

 倉渕山は予定外の山だったので事前調査しなかったが、帰ってから調べたらノラさんの無雪期の記録のみという、まさに「武内級」の山だった。山頂に標識も目印も無かったのも頷ける結果だった。

宿に利用した道路に止まっていた大宮ナンバーのワゴン車 小立岩集落入口

 山毛欅沢山、小沢山に登ったときと同じように赤岩橋左岸下流側のどん詰まり舗装道路で寝た。大宮ナンバーの空っぽのワンボックスが1台止まっていたが、その主はどんなルートに入っているのだろうか。私が倉渕山から下山してもまだ空のままだった。ここは車が通過することもなく静かに快適に寝られた。夕方は雪が舞っていたが夜半には快晴になっていた。

 翌朝、まだ薄暗さが残った中を出発。昨日の雪質からしてずっとつぼ足で行ける可能性が高いが、念のためワカンを持ち上げることにした。スノーシューより浮力は小さいがあの雪質なら問題ないだろう。重さはえらく軽く感じる。ピッケルとアイゼンは保険として持っていく。

尾根末端の鳥居 尾根を急登
なだらかになる 750m峰の小さな祠

 小立岩集落東端から尾根末端に取り付くと小さな鳥居が待っていた。ほお、やはり踏跡程度はあるようだ。残雪の杉の急斜面を少しだけ上がって尾根の肩に乗ると自然林に変貌、少しだけ雪が残っているが地面が出ている部分には薄い踏跡が見られた。750m峰では小さな祠があり、今はどうか分からないが昔は小立岩の人が信仰のため登ったらしい。

鞍部 下部は大きな落葉樹の生えた尾根が続く

 細い尾根を僅かに下って雪の上を登っていくとずっと前方にカモシカ発見。待っていてくれればいいのに走って逃げてしまい写真撮影はできなかった。雪の上には新しいカモシカの蹄の跡がくっきりと残っていた。足跡のサイズからしてまだ小さい部類のようだ。この頃には地面は見えなくなり、よく締まってワカンの出番がない雪が続くようになる。

カラマツ植林帯で日の出を迎える ワカンに切換え踏み抜き回避

 標高900mで傾斜が緩むとカラマツ植林帯に変貌し、どういうわけか雪の締りがなくなり踏み抜きが連発するようになった。まさか使うとは思わなかったワカンの出番で、使用後は僅かに沈むだけで済むようになり、再び快調に歩きだす。ワカンはスノーシューよりグリップ力が劣るが、今日の尾根なら厳しそうなところは無さそうなのでこのまま山頂まで行けるだろう。まあ、本当にヤバいところはアイゼンに変えればいいだけだが。

ブナ林に変貌。やっぱ東北はこれじゃなくちゃ 以後はブナ林が続く

 標高960mで尾根が右に曲がると再びブナを中心とする気持ちのいい自然林が広がり、よく締まった雪を踏みしめて進んでゆく。右手には常に山毛欅沢山や小沢山の稜線が見えているのだが、標高が標高なのでずっと樹林が続いて写真撮影できるような開けた場所がほとんど無い。雪庇のでき方の関係で南側は展望が開けた場所が何箇所かあり、昨日登った白見山の黒々とした尖った山頂も見えていたが、ここから見ると何とも目立たないピークに成り下がっていた。

まだ白い野兎が立ち止まってくれた 走る兎の歩幅と人間の歩幅
青空が美しい ブナに文字が刻まれていた
稜線上から見た県境の山々(クリックで拡大)

 1113m標高点直下をエッチラオッチラ登っていると真っ白な野兎が「脱兎のごとく」逃げていったが、さっきのカモシカと違ってある距離で立ち止まってこちらを見てくれたのでデジカメで写真を撮影できた。野兎は逃げ足が速く写真に撮影するのは難しい動物の一つだ。1113m標高点で左から尾根が合わさるが、昨日の新雪に自分のワカンの跡がくっきり残るので下山時に尾根を間違う恐れはない。この付近から雪庇が発達するようになり、所々で南側の展望が開けるようになる。

白身山付近拡大 帝釈山付近
雪庇が大きくなっていく 山頂は近い

 ブナ林と緩やかな登りが続き、山頂付近に鳴ると水平移動となり、念のためGPSの電源を入れる。小ピークが出てきたのでこれが山頂かとGPSを見ると山頂はまだ西にあるとのお告げ。確かにこの先もまだなだらかな尾根が続いていて大きな下りの気配はない。なおも進んで少しだけ登り上げたピークが倉渕山山頂だった。

倉渕山山頂 倉渕山から見た小沢山、稲子山
倉渕山から見た大戸沢岳、三岩岳 倉渕山から見た窓明山
倉渕山から見た坪入山 倉渕山から西へと続く稜線

 周囲はブナに覆われて展望がいいとは言えないが、枝の隙間を通して三岩岳や窓明山、稲沢山から山毛欅沢山の稜線が見えていた。山頂付近であちこち動いて狭い範囲だが枝が邪魔にならないアングルを探して何枚か写真を撮影した。尾根下部に踏跡があったので標識かテープ類は何かしらあるだろうと思っていたが、予想に反して皆無であった。積雪量は不明だが、2mとかは無いだろうから標識類が埋もれているとは思えない。それほど登る人が少ないということだろう。まあ、この展望では仕方ないか。

 短距離の山行だったので疲労はなく、写真撮影してテープを残してから下山開始。ワカンを履くのも久しぶりだったがスノーシューと違ってかかとを使ってブレーキがかけられるので下りはスノーシューより扱いやすく歩きやすかった。750m峰を越えて露岩を下るところでワカンを脱いでつぼ足で下り、尾根末端の鳥居に降り立った。

 

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